ストップ高って何?値幅制限とは?
ストップ高になると売買が一切できなくなるの?
株取引を行う際に気になるのが、「ストップ高」や「値幅制限」というワードではないでしょうか。ストップ高と値幅制限、いずれも株取引において重要な意味を持ちます。そこでこの記事では、ストップ高と値幅制限を含め、株取引の約定の仕組みについて分かりやすく解説します。
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ストップ高とは何か
株取引の用語に「ストップ高」という言葉がありますが、どのような意味なのでしょうか?
「ストップ高」は価格の一過性の異常上昇を制限するための制度を指しますよ。
ストップ高とは、株価が一定の上昇幅を超えた場合に設定される制限です。具体的には、一定の値幅以上の上昇があった場合に、その株の取引が一時的に停止されることを意味します。取引が一時的に停止されると、市場の過熱や価格の一過性の異常上昇を抑えられる効果があります。
ストップ高は何で決まる?
株取引において、株価が大きく上下するのはよくあること。しかし、急激に上下した場合、市場は大きく混乱します。株価の急激な下落によって、大きな損失を被る投資家も出てくるでしょう。そこで株取引では、株価の上下を限度額内におさめる値幅制限を行っています。
ストップ高は、値幅制限まで株価が上昇した状況という意味ですか?
その通りです。制限いっぱいに上昇している状態をストップ高と呼びます。ストップ高になると、その日はそれ以上の価格には上昇しません。
ストップ高になると、その企業も注目されそうですね……!
ストップ高の影響力は非常に大きいものがありますよ。ストップ高が発生すれば、投資家やトレーダーはその銘柄に注目しますよね。その結果、銘柄の取引が再開された後に大量の売買が行われるケースも珍しくはありません。
ストップ高は市場全体の取引量を増加させ、株式市場の活気の向上にもつながります。また、ストップ高が相次いで発生した場合には、株式市場全体の上昇トレンドが形成されるケースもあります。
ストップ高が発生すると、その銘柄に対する需要が急増します。取引再開後に価格が急騰した結果、投資家たちは高値での買い入れを余儀なくされるケースもあります
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ストップ高でも銘柄を購入できる?
ストップ高が発生した場合、投資家は一時的に売買ができなくなるのですか?
ストップ高になると、その銘柄の取引が一時停止され、値上がり率が上限に達した後に再開されます。なので、市場が一時的に停滞すると考えてください。ただし、ストップ高になったから、すぐに売買停止になるわけではありませんよ。
ストップ高になった場合、値幅制限以上の価格での取引は不可能です。売買停止になれば、取引はできません。しかし値幅制限の上限いっぱいに注文を出し、その銘柄を購入できるケースもあります。
売買が同数なら約定出来るケースもある
ストップ高でも注文が約定するケースもあります。というのも、「売り」と「買い」の注文数が同じであれば、注文が成立するからです。
注文が成立する例
・売り:7000株 ↔ 買い:7000株
・売り:4000株 ↔ 買い:4000株
比例分配を行うケース
ストップ高の銘柄を買う方法として、比例分配で割り当てられるケースが挙げられます。比例分配とは、投資家がストップ高の銘柄に投資する際に、一定の規則に基づいて株式を割り当てる方法を意味します。
例えば、ある銘柄がストップ高になった場合、複数の証券会社がそれぞれ100株の購入を希望していたとします。しかしこの銘柄のストップ高の株価は高騰しており、売りが50株しかないため、100株を一度に購入できない状況です。
ここで比例分配が適用されると、各証券会社に60株、40株、10株……というように、比例分配のルールに従って銘柄が割り当てられます。
比例分配の割り当て|証券取引所のルール(例)
【売り注文】
60株のケース
【買い注文】
・証券会社A:100株
・証券会社B:80株
・証券会社C:70株
この場合、売り注文である60株の取引しか成立しません。この時この60株は、買い注文の多い順に割り当てられていきます。
【比例分配の例】
・証券会社A:30株
・証券会社B:20株
・証券会社C:10株
投資家にはどのように割り当てられるのですか?
証券会社に割り当てられた後、各証券会社のルールに従って投資家が購入しますよ。
比例分配の割り当て|証券会社のルール(例)
証券会社から各投資家への比例分配のルールは、各証券会社によって大きな違いがあります。
【SBI証券】
・成行注文、かつ注文時刻の早い投資家を優先
【楽天証券】
・注文時刻の早い投資家を優先
【松井証券】
・注文数量の多い投資家を優先
【カブドットコム証券】
・抽選式
各証券会社によって比例分配の振り分けは異なるため、振り分けを理解しておくと比例分配で有利な注文ができます。
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ストップ高の仕組みを徹底分析
ストップ高が発生する背景には、市場参加者の情報の不均衡が関与している部分があります。たとえば投資家やトレーダーが、特定の銘柄に対して楽観的な情報を得た場合、その銘柄への需要が急増します。その結果、株価が急騰するわけです。
単に情報の不均衡でストップ高が起こるわけではありませんよ。ストップ高の背景にはさまざまな要因がありますから、下記の一例を見ると分かりやすいかもしれませんね。
ストップ高の背景(一例)
- 企業の好決済が発表されたケース
- 業績の大幅な改善が見込まれるケース
- 新規事業の導入が話題になったケース
- 公開買付が発表されたケース
- 株主優待の好待遇が発表されたケース
- 企業または経営陣のメディア露出があったケース
- 大手との協業を発表したケース
本当にさまざまな要因があるのですね。
下記の例を見てもらうと分かりますが、ストップ高の発生には複数の要因が組み合わさっていますよ。
ストップ高は、上昇トレンドにある銘柄に対して投資家が急速に買い注文を出すと発生します。
ストップ高の背景(シライ電子工業の例)
・新製品の開発、販売開始
・営業利益予想の増額(10億円から14億円)
・主要取引先のEV開発 など
※これらの要因が組み合わさり、シライ電子工業では2ヶ月間に3回のストップ高が発生した事例があります。
FXの豆知識 ~FXにストップ高はある?~
株取引と異なり、FX取引には「ストップ高・ストップ安」は存在しません。そのため、FXではいつでもロスカットできる特徴があります。もしFXにストップ高・ストップ安が適用されていれば、相場が荒れてもロスカットが難しいといった状況になります。ちなみに、暗号資産にもストップ高・ストップ安はありません。
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ストップ安とは?
モルだーさん、ストップ高があるってことは、「ストップ安」もあるってことですよね?
その通りです。ストップ高の反対は「ストップ安」ですよ。
ストップ安とは、株価の下落が一定の制限に達した場合に発生する現象です。株価の急騰を抑制するために設けられたストップ高と同様に、株価の急落を防ぐためにストップ安が設けられています。
株価がストップ安になると、その銘柄の取引が一時停止されます。一時停止された銘柄の取引は、一定の時間が経過するか、株価が再び値幅制限内に収まると再開されます。
値幅制限とは何か
ストップ高・ストップ安について調べていくと、値幅制限(ねはばせいげん)という言葉を耳にしますが、どういう意味なのでしょうか?
値幅制限は、名前の通り「株式市場における価格変動の制限」を指します。
値幅制限は、株価の上下限を設定することにより、大幅な価格変動を抑えるために行われるものです。簡単に説明すると、その銘柄の1日の値動きの幅の制限を指します。これは1日の取引開始前に取引所によって設定されるものであり、その基準は株価の前日終値となります。
つまり、その日、注文できる下限~上限を指しますよ。
値幅制限の例
【前日終値が1,200円の場合】
・値幅上限 1,500円
・値幅下限 900円
【前日終値が2,000円の場合】
・値幅上限 2,300円
・値幅下限 1,700円
※取引所によっては拡大措置などの臨時変更が行われるケースもあります。
2日連続でストップ高(またはストップ安)になり、かつ株の売買がない場合には拡大措置がとられますよ。
値幅制限の役割と効果
値幅制限は、金融市場における取引の安定性と秩序を維持するために欠かせない仕組みです。価格変動があまりにも大きい場合、市場は不安定になりますから、参加者は取引のリスクを把握しづらくなるでしょう。値幅制限があれば、価格の急激な変動を抑制できるため、市場の安定性を確保できます。つまり、取引の透明性を高められるわけです。
値幅制限は、不正取引や価格操作を防ぐためにも役立ちますよ。
値幅制限を設けていれば、一時的なトレンドに惑わされずに、冷静な判断で取引できます。過熱しすぎて多くの投資家が購入すれば、株価は暴騰します。反対に、多くの投資家が一気に株を売却すれば、株価は暴落するわけです。
そうした暴騰・暴落を防ぐための策として、ストップ高やストップ安が存在します。よって投資家は、リスクを最小限に抑えつつ、適切なタイミングでポジションを閉じられます。
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