FX取引をする際に必ず登場する単位である”pips”ですが、どう行った理屈で使われているのか曖昧なまま取引をしている方も多いかもしれません。
FX取引自体が違う通貨同士のやり取りを行っているというものであるというのは認識ができていると思います。
つまり使用する単位も違うものとなってしまうためそこに関して統一するために使用しているのだろうということはなんとなく理解できていると思います。
しかし実際にどのような理屈でどのように使っていけば良いのかということまで言語ができる人はなかなかまだ初心者の方では少ないのではないでしょうか。
ここではpipsの基礎知識から危険性まで幅広く取り扱っていきます。
そもそもpipsとは
pipsは為替取引の際、各国通貨の共通単位として使われます。
FX取引の際には様々な国々の通過が取引されます。
そのため通貨単位も様々です。
取引の際にそのバラバラの通貨単位をそのまま使っていると大変分かりづらく不便です。
そこで共通して使える単位として編み出されたのがpipsです。
これを利用することで様々な通貨ペアであっても同じ単位を使って為替の変動幅を表現することが可能となります。
1pipsはいくら?
初めてFX取引に触れ合う人にはむしろpipsで全てが表現されることに分かりづらさを感じる人もいるかもしれません。
さらにややこしいことに1pipsがいくらであるかの設定はFX業者によっても違います。
そのせいで資金管理の面でも誤解をしてしまう人が多く、資金管理がが非常に重要な部分を占めるFX取引においては1pipsの設定に関する部分などをわからずに取引をしているととても危険です。
特に複数のFX業者を使い分けている方はそういったことに気づかないで取引をしてしまい損失を被ることも少なくありません。
お使いのFX業者によって各自確認するようにしましょう。
多くのFX業者が採用しているのは,
クロス円(USD/JPY・EUR/JPY)など
1pips=0.01円
それ以外(EUR/USD・EUR/GBP)など
1pips=0.00001外貨
という設定です。
これに当てはめて為替変動があった際に、「1pips動いた、3pips動いた」と言ったように表現します。
pipsの損益計算方法は?
ではFXで実際に取引をした際に最終的に30 pips獲得したとします。
その時に法定通貨の金額に当てはめてみた場合に一体いくらの利益になったのか分かりづらいと思います。
そのような時は以下の計算式に当てはめて計算をしましょう。
ドル円が100円の時に10000通貨で買いでエントリーをしました。
100.30円になったので利確しました。
上記のような場合を計算式に当てはめてみましょう。
つまりこの場合の利益は3000円となるということになります。
そんなに難しくない計算式であるのではないかと思います。
ただし、FX会社によって1pipsの基準値、1LOTの数量、通貨ペアのpipsの設定値がバラバラなため間違った計算をしてしまってエントリーの際に大損をしたりすることのないようにしましょう。
ちょっとの間違いが10倍とか100倍の差になってしまうから恐ろしいわね、、、
実際に取引で使うMT4などには自動で計算されて損益の金額が表示されるのがほとんどなのでそんなに気にすることでもありません。
スプレッドにおけるpips
FX取引をする際に必ずついて回るスプレッドですがこちらも単位はpipsで表されます。
スプレッドとはいわばFX取引における取引手数料です。
通貨取引をする際に適用される売値と買値の差額がスプレッドになります。
FX業者によって様々なスプレッドの設定があります。
FX業者を選定する際にもスプレッドの広さは大事なポイントとなります。
スプレッドが狭い代わりにスキャルピングを禁止していたり最低入金額が高額であったりすることが多いです。
スプレッドにおけるpipsはエントリーした際にそのスプレッド分マイナスからスタートすると言うことになります。
つまり例えばスプレッドが1.2pipsの通貨ペアでエントリーした場合、合計で10 pips獲得したとしても実際の利益は8.8pipsとなります。
またスプレッドは固定されず変動します。
ですがFX業者によっては固定スプレッド制をとっているところもあります。
またそういった固定スプレッド制の口座でも指標発表などで大きく相場が動く場面ではスプレッドが極端に広くなる傾向があります。
急変動に飛び乗って思ったよりも利益が乗らなかったのは最初にスプレッド分のマイナスが大きかったからなのね
トレードスタイルによる獲得pipsの違い
トレードスタイルによって狙う値幅が変わってきますから当然獲得するpipsの幅も変わってきます。
実際の損益はpipsにロット数がかかってきますのでそれによって金額は変動します。
そのためFX取引においてどれだけの値幅を取れたかということを表現する際は獲得金額ではなくpipsを使います。
やたら獲得金額ばかりをアピールしているトレーダーは基本的には怪しいものと思って良いでしょう。
スキャルピングで狙うpips
数秒から数分の取引であるスキャルピングでは1~10pipsほどの値幅を細かく狙っていくことが多いです。
狙う値幅が狭いため先述のスプレッドが大きな弊害となります。
スキャルピングをするトレーダーはできる限りスプレッドの狭い選択する必要があります。
デイトレードで狙うpips
デイトレードはその日のうちに取引を終えるトレードスタイルです。
だいたい10 pipsからうまくいけば100 pipsほどを狙えることもあります。
スキャルピングほどではないにしろスプレッドの影響は重要となってきます。
スイングトレードで狙うpips
数日から数ヶ月にも及ぶスイングトレードでは100 pips以上を狙いにいきます。
スイングトレードレベルまでになるとスプレッドの影響はあまり気にすることはありません。
1日で動くpipsの量
為替相場は常に変動しているために1日にどれぐらいの変動幅があるのか一概には言えません。
参考までに2022年の1年間の変動幅の記録を見てみると、ポンド円で187pipsほど、ユーロ円で152pipsほど、ドル円で140pipsほどでした。
この変動幅の大きさを表す言葉がボラティリティです。
ポンド円はボラティリティが大きく初心者には難しいと言われるのはこのことを指します。
つまり変動幅が大きいために利益も大きく取れますが、一瞬にして大きな損失を被る恐れがあるということです。
実際に取引をする際にはこのボラティリティを意識して取引をしましょう。
資金管理におけるpips
FX取引をする際には相場分析や環境認識の技術だけでなく資金管理も大変重要なポイントとなります。
資金管理計算の際もpipsは使われます。
例えば1回の取引での2%までと設定していた場合、その取引しようとする通貨ペアに対して何pipsまで損を許容できるかという計算が必要になります。
10万円の資金があって2%なので2000円の損切り設定をするとすれば、1万通貨でのエントリーの際は損切り位置は20 pipsまで許容できるというような計算ができます。
MT4でのpipsに関する設定
任意の場所のpips数が知りたい
MT4でているチャートのpips数が知りたい時があると思います。
そのような時はマウスホイールを押したままドラッグすることによって簡単に表示させることができます。
下の画像は高値から安値までのpips数を測っています。
表示されている真ん中の数値がpips数です。
470と表示されているのでこれは47pipsということになります。
ちなみに左の43はろうそくの本数です。
損益をpips表示したい
MT4の損益表示はデフォルトでは通貨単位になっています。
円やドルなどに設定されています。
ここの部分をpips表示に変えることができます。
実際の額面にとらわれず取引ができるためメンタルを揺さぶられやすい方にもこの設定はおすすめです。
まずMT4を起動したら、損益額の部分にカーソルを合わせます。
そしてそこを右クリックします。
「損益表示形式」の中にある「ポイントで表示」をクリックし設定します。
損益がpips表示になれば成功です。
pipsにまつわるインジケーター
MT4をはじめとするFX取引で使用するプラットフォームにはインジケーターという便利なものが存在します。
インジケーターはチャートを利用したテクニカル分析においてその分析作業や環境認識がやりやすくなるように日々開発されているツールです。
有料から無料のものまで数多く存在しインジケーターを見つけることができれば取引の時間や環境認識の時間を大きく短縮することが可能です。
MT4で使用できるpipsに関するインジケーターは数多く存在します。
- チャート上に現在の獲得pipsをリアルタイム表示するインジケーター
- 現在のスプレッドをpips表示するインジケーター
- 設定した資金管理に合わせて自動で損切り位置や利確位置までのpipsを表示するインジケーター
上記のように様々な便利なインジケーターが開発されています。
有料のものから無料のものまで取引が便利になるだけでなく大切な資金を守るためにも役立ちます。
そのようなインジケーターは積極的に取り入れて試してみましょう。
pipsか金額か
先述の通り例えばMT4での表示をpips表示にするか法定通貨の単位として表示するかなどどちらが最適なのかという議論は常にされています。
pips表示で取引を考える際のメリットはどの通貨ペアで取引を行っても成績や取り幅の認識が分かりやすく、実際の懸賞などで記録をする際にも分かりやすいという点があります。
法定通貨の単位などで表示をするメリットは実際の金額が表示されるため心情的にもきちんとお金を扱っているという自覚を持てたり、ロットをかけ間違えたりした場合にもすぐに気づくことができるなどのメリットがあります。
またインターネットなどでFX取引の情報を発信している人の中には1日で100万円稼げました、と言ったように金額でアピールしている人が多く見受けられますが極端な話10pipsで100万円稼いだのか1000pipsで100万円稼いだのかでは全く違います。
状況に応じてどのように表示したりするかを使い分けるのがベストですが、自分の取引においてpipsの概念、金額の概念どちらも並行して考えられるようにすることが資金管理の上でもとても重要になります。
pipsで損切りを設定する危険性
FX取引で損切り位置を決める際に、全ての取引において20pips逆行したら損切り、と言ったように固定pipsを設定して損切り一応決める人がいます。
徹底した資金管理のもと決定してあるのであれば問題はないとも言えますが、相場は常に形を変えており損切り位置も本来であれば優位性や根拠が崩れた場所に設定されるべきものであるため固定pipsで決めてしまうとその相場の形や勢いあるいは動きに対して何の意味もないところで損切りを発動することになりかねません。
損切り位置などを設定する際にもpipsを固定してどの相場に対しても取引していこうと考えるのはおすすめできません。
ギャンブルトレードになりがちな原因の一つでもあります。
pipsに目標値を設定する危険性
初心者の方の中にはFX取引における利益の目標を立てたりする方がいます。
今月は10万円を稼ぐ、毎日30 pips獲得するといった目標です。
何事にも目標を立ててそこに対して努力をしていくことは非常に重要でありモチベーションにつながる大事な行動ではありますがFX取引においては必ずしもそうとは言えません。
FX取引は相場に対して自分の得意な手法やトレードスタイルを見つけそれに対する優位性の高いところを狙っていきます。
しかしいくらFX取引の腕が上がっても相場に逆らうことはできません。
あくまで相場が素直に動くところをって行くのが基本となるため目標を立ててしまうと相場が荒れていてもその目標に達するために無理やりトレードをすることになるため矛盾が生じてしまいます。
ですので目標に達成させるためにロットをあげてしまうようなことになる金額目標設定はもちろんのこと、無理やりにでも目標達成のためにpipsを獲得してしまおうとするpips目標設定もポジポジ病やエントリーの精度を低下させる原因となるためおすすめしません。
まとめ
このようにpipsはFX取引を始めたての初心者には大変分かりづらいものではありますが、理屈と仕組みを理解さえしてしまえばそれほどとっつきづらいものではないということがわかっていただけたのではないでしょうか。
FX取引には独特な用語がたくさん登場しますがそのどれをとってもなんとなく適当に理解していると必ずどこかで痛い目に遭ってしまいます。
今回のようなpipsという言葉1つにでさえも納得ができるまで掘り下げて学ぶことが重要です。
とにかく資金管理が最重要であるFX取引においてpips計算はいつまでもついて回るでしょう。
先述したようにFX業者によってpipsの設定は変わります。
FX取引に慣れてきた頃に様々な理由から業者を変えようと思うこともあるかもしれません。
その際に今までと違う設定であって気づかないでいるととんでもない損失を被るかもしれません。
今回pipsについて学んだことが必ず役に立つ日が来るわね
将来的にも獲得pipsに一喜一憂せず淡々と取引を行わせていけるようになることを目標としてください。