兼業FXトレーダーとして利益を得るようになってくると本業に対しての対応や税金面など様々な心配事が出てくると思います。
特に副業を禁止している会社に勤められている方や、今までに申告を自身で行ったことがない方などは特にこのような事柄に対して心配があるのではないでしょうか。
現状、まだ安定した利益がない方でも早い段階から頭に入れておくことだけでも対策となります。
知らなかったでは済まされないこともたくさんあります。
せっかく稼いだ利益を失ってしまうことにもなりかねないわね
ここではFX取引で稼いだ利益に付随する様々な注意するべきポイントを紹介していきます。
副業禁止の会社にバレてしまうのか否か
副業を禁止している会社に勤めていてFX取引を内緒でしている方はこの利益がバレてしまったらどうなってしまうのかと気が気ではないかもしれません。
先に結論から申し上げますとFX取引で利益を上げていることが会社側にばれる可能性は十分にありえます。
家計のために稼いでいるだけだからそのせいで会社までクビになったら困るのだけど、、、
FX取引は犯罪でもありませんし利益を得たことで恐怖を感じるのは理不尽ですよね。
住民税からバレる
会社勤めをしている人は住民税を会社側が給料から天引きされることがほとんどだと思います。
この際に納税方法を特別徴収にしていると当人の収入から住民税を計算しその金額が直接会社に通達され納税することになるため、会社での給与よりも多くの収入がある場合会社側に当然ばれることとなります。
対策
対策としては納税方法を特別徴収ではなく普通徴収にすることです。
住民税の金額も直接会社に通達されることはないため別の収入があることはばれません。
普通徴収を選んだとしても会社で得た収入に対する住民税は特別徴収をしている時と同じように会社側に通達されます。
そして同じように給与から天引きされます。
それ以外の部分は自分自身で納税をすることになりますので会社側がご自身の収入を知る方法はないということになります。
知人伝いにバレる
自身で収入を得ていることが知れ渡る理由として多いのが知人伝いにばれることです。
そのため信用していた人に話したとしても噂として広まってしまうことは残念ながら少なくありません。
そもそもFX自体が多く理解されているものではないので、破産をしたりギャンブルと同じようなものと思われることもしばしばあります。
対策
対策としてはもちろん誰にも話さないということが一番です。
FX取引で利益を得ている方の中には家族にすら話していない方も多くいます。
FX取引を始めたことを家族に話してしまうと怪しい投資やギャンブルに手を出したのと同じような目で見られてしまい、技術を身につける前に辞めさせられてしまうこともあります。
そのような理由からもFX取引を行っていることは誰にも話さないのが一番の対策と言えます。(ただしFX取引で利益を手にしている知人がいる場合などは別かもしれません。)
ですがFX取引で技術が上がってきたり利益が乗ってきたりするとどうしても人に話したくなってしまいます。
お酒の場などでうっかり話してしまったりしないように注意が必要です。
話したことで友達を失ったりしてしまってもメンタル的にも良くないわね
どうしても人に話したい場合は身分を明かさずSNSなどを利用して専用のアカウントを使って発信をすることも良いでしょう。
何かしらの形にして自分の技術や覚えた手法、あるいは日々の取引の記録などを発信していくのは技術向上にプラスとなります。
そもそもFX取引は副業に当たらない
バレるバレないの問題の前にそもそもFX取引は日本の法律上副業にあたりません。
FX取引での利益は雑所得として扱われます。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
雑所得の金額は、次の(1)から(3)の合計額です。
(1) 公的年金等
収入金額 – 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
(注)公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。
(2)業務に係るもの
総収入金額 – 必要経費 = 業務に係る雑所得
(注)業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。
(3)(1)、(2)以外のもの
総収入金額 – 必要経費 = その他の雑所得
参考:国税庁
日本における副業は、労働による対価として収入を得た場合です。
なので会社規則に副業が禁止だと書いてあってもFX取引で利益を得ていることは隠す必要はありません。
もちろん会社の就業規則に個人でFX取引で収入を得ることを禁止する明記されてる場合は別です。
ですがFX取引をやっていることがバレることにより本業の業務をおろそかにしていると思われたり、あらぬ嫌がらせを受ける可能性もあります。
万が一、会社から副業禁止の規約違反だと言われても法律上何の問題もないためしっかりと対応をすれば何一つこちらが不利になることはありません。
ただし実際にFX取引を就業時間内に行っていたりFX取引による寝不足などで業務に支障が出ていた場合などは別の理由で会社側から訴えを起こされてしまう可能性もあります。
兼業FXトレーダーとして利益を得る場合はそのようなことにも十分注意をして取り組んでいく必要があります。
まずは大前提として上記のようなことは頭に入れておくことが重要です。
FXと税金
FX取引で利益を得る以上、絶対に無視をしてはいけないのが税金です。
FX取引での技術を磨くのと同時進行で頭に入れておくべき事柄です。
特に会社からの給与所得でしか収入の経験がない方には自身の収入を自身で国に申告するという経験がなく、うっかり忘れてしまいがちです。
またFX取引での利益に対して税金で持っていかれる額は決して安くありません。
そのためあえて所得を隠してしまう方もいます。
そのような行為は故意であれ過失であれ犯罪になり、当人の置かれている状況に関わらず厳しく罰せられます。
日本の法律で定められているFXの定義
日本の法律上のFXに関しては以下のように定められています。
外国為替証拠金取引(FX)とは、外国為替(外国通貨)の売買を、一定の証拠金(保証金)を担保にして、その証拠金の何十倍もの取引単位(金額)で行う取引をいいます。
なお、外国為替証拠金取引(FX)には、店頭デリバティブ取引と市場デリバティブ取引(金融商品取引所の開設する金融商品市場で行われる取引)がありますが、いずれの場合も課税関係は同じです。
参考:国税庁
また、FX取引における日本での課税に関する事柄は以下のように定められています。
(1) 差金決済による差益が生じた場合
他の所得と区分し、「先物取引に係る雑所得等」として、所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)の税率で課税されます(申告分離課税)。
なお、「先物取引に係る雑所得等」とは、一定の先物取引による事業所得の金額、譲渡所得の金額および雑所得の金額の合計額をいいます。
(注) 平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則として、その年分の基準所得税額の2.1パーセント)を併せて申告・納付することになります。
(2) 差金決済による差損が生じた場合
他の「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算は可能ですが、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得の金額との損益通算はできません。
しかし、他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算をしてもなお引ききれない損失の金額は、一定の要件の下、翌年以後3年内の各年分の「先物取引に係る雑所得等」の金額から控除することができま)。
(注1) 平成23年12月31日以前に行われた店頭取引の場合の課税関係は次のとおりです。
イ 差金決済による差益が生じた場合
一般的には、雑所得として総合課税の対象となりますので、課税総所得金額に応じた税率(超過累進税率)で課税されます。
ロ 差金決済による差損が生じた場合
上記イのとおり、一般的には雑所得とされることから、雑所得の範囲内での損益の通算は可能ですが、他の各種所得の金額との損益通算はできません。
なお、取引所取引に係る「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益の通算もできません。
(注2) 平成24年1月1日以後に行う店頭取引であっても、金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引に該当しない取引は、申告分離課税ではなく、(注1)の取扱いとなります。
(注3) 平成28年10月1日以後に行う店頭デリバティブ取引のうち、金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限ります。)または登録金融機関以外との取引は、申告分離課税ではなく、(注1)の取扱いとなります。
参考:国税庁
このようにFX取引においてはきちんと収入としての扱いの種別が分類されており納税に関して厳しく定義がつけられていることが分かります。
上記を踏まえた上で海外FX取引における納税について解説していきます。
確定申告が必要?
FX取引での収入は申告分離課税の対象となっています。
申告分離課税とは分かりやすく言うと自身で申告が必要な税金のことです。
例えばFX業者や出金の際に使った銀行、クレジット会社、あるいはオンラインウォレットの会社などが計算をして税金を天引きしておいてくれるようなことはありません。
だからこそ自分で申告する必要があるのね
利益が20万円以下の場合
日本の法律では給与以外の収入が年間20万円以下の場合は確定申告が不要です。
これはあくまで所得税にかかる申告になります。
住民税に関しては金額に関係なく収入を全額申告する必要があります。
つまりどちらにせよ申告が必要となります。
それだけでなく今後利益が年間20万円以上を超えて増えていった場合にも確定申告という作業自体に慣れておくことで後が楽になります。
FX取引で得た利益を確定申告すること自体はさほど大変ではありませんが、確定申告のシステム自体があまり分かりやすくありません。
税金はいくらかかる?
では実際に海外FX業者を利用したFX取引での利益に対してはどのように税金がかかってくるのでしょうか。
国内FX業者を利用した場合は税率は一律20.315%です。
しかし海外FX業者を利用した場合は累進課税となり利益に応じて5%から45%以上と税率が大きく変わります。
また国内FX業者と違い海外FX業者を利用した場合の損失について年をまたいで繰越しして申告することができません。
そのため海外FX業者を利用した取引での利益に対する納税に関して非常に慎重に行う必要があります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
税金がかかるタイミングは?
FX取引での課税を計算するタイミングはその年の12月31日です。
課税対象はポジションを決済しているものに限られます。
保有している最中のポジションの含み益は利益としては計上されません。
12月31日時点で全ての損益を合算したものが申告内容となります。
海外FXでの節税方法は?
先述の通り、海外FXでの利益は累進課税となるため稼げば稼ぐほど多くの税金を支払う必要があります。
利益が増えてくると節税を考えることが必要になってきます。
海外FX取引での利益に対する節税について解説していきます。
経費をしっかりと申告する
FX取引における必要経費は確定申告の際に計上することができます。
FX取引における経費として申告可能な物は明確な定義がありません。
あくまで常識の範囲内でという考え方になります。
例えば一般的に取引に利用するパソコンやスマートフォン、タブレットの購入代金、インターネットの通信費、FX関連書籍の購入費、FXに関する勉強会等の受講費用、それに付随する交通費、記録に使用した文房具の購入費などは経費として計上することができると言われています。
他の雑所得と合算する
FX取引の利益は雑所得になるため事業所得とは合算することができません。
しかし他の雑所得扱いになる副業を行っている場合はその副業の赤字分を合算することは可能です。
他の副業をやっている方に限られますがこちらも合わせて覚えておくと良いでしょう。
所得控除を利用する
日本の法律では所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味し所得控除を受けることができます。
所得控除は基本的には自己申告となり国から個別に控除対象となるか否かなどの通達はありません。
一つ一つ自身で調べて対象となる控除があるかどうかをきちんと確認しましょう。
場合によっては大きな節税となります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
まとめ
以上のようにFX取引における納税は以上に重要です。
FX取引の手法やいかに儲かったかなどの話は様々なところで溢れかえっていますが税金に関する話はあまり話題になることはありません。
重要視することを忘れがちになることもありますがそうならないためにも1年の終わりにはきちんと確定申告の準備をはじめるようにしましょう。