FXxを始めるにあたって様々な本やインターネットで情報を集めていると、「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」という言葉を多く目にすることと思います。
どちらもFXで相場取引をする際に買うか売るかを判断するために最重要な相場分析の方法です。
ここでは「テクニカル分析」について詳しく解説して行きます。
テクニカル分析とは
「ファンダメンタルズ分析」が金融政策や指標、景気、財政などその国の通貨に関わる経済データを調べて相場を予想し気をする分析方法であるのに対し、「テクニカル分析」は実際のチャートからトレンド方向やパターンなどを読み取り分析する方法です。
1700年代の江戸時代の米相場から使われ始めた分析方法で、この頃にローソク足も開発されました。
チャートパターンを読み取りそこから売り買いを決定するは現在でも基本的には同じです。
300年以上も変わらず利用されているということはテクニカル分析がFX取引においてきちんと機能していることの裏付けとも言えるでしょう。
ここにダウ理論をベースにして発展していったのが現在のテクニカル分析です。
ダウ理論に関しては詳しく後述します。
単なるローソク足やチャートの形にとらわれるのではなく、その裏には集団心理などの明確な根拠が少なからずあることを頭に入れておきましょう。
テクニカル分析のメリット
経済の知識を必要としない
テクニカル分析の一番のメリットとして、あくまでチャート分析し取引を行うため基本的には経済ニュースや詳細なファンダメンタルズに関する部分は知識として必要としません。
その日々新しい情報を入手し続けなければならないわけではないためファンダメンタルズ分析と比べその点においては始めやすいと言えるでしょう。
ただしFOMCなどチャートが大きく動く指標発表などは無視することはできず把握しておく必要があります。
大きな経済発表のある日や時間には取引自体を行わないようにするなどの対策も必要となります。
必ずしもファンダメンタルズの部分を無視していいわけではないのね
様々な手法がある
テクニカル分析には水平線やトレンドライン、フィボナッチやエリオット波動、ダウ理論など無数の分析方法があります。
そのため自分にあった分析方法を探し出し身につけることができます。
生活スタイルや取引の時間軸など状況によって適切な分析方法は様々です。
ひとつの手法を分析していてどうしても理解ができなかったり成績が分からないような場合にも他の様々な分析方法を試すことができます。
様々な手法を分析し経験することはテクニカル分析の精度をあげ理解を深めることにも上がっていきます。
FX以外にも対応できる
先述の通り、テクニカル分析には通貨を取り巻く状況などの知識が必要とされません。
しかしチャートの動きは相場における大衆心理をベースとしているため、FXだけでなく株式取引や仮想通貨取引などにも同じようなテクニカル分析を応用することができます。
そのためテクニカル分析の自分なりの勝てる手法を見つけ出すことができれば、FXでの様々な通貨のみならず、ゴールドやシルバー、あるいは仮想通貨や株式取引などで儲けを出すことも不可能ではありません。
基本的にはどの相場も同じフラクタルの構造をしていると分析されます。
テクニカル分析のデメリット
理解に時間を要する
その分析の方法の多さ手法の多さからもわかるように、テクニカル分析は人によって見方が様々でチャートを見ていても全く逆の分析をすることもあります。
ローソク足の形やチャートパターンを丸暗記しただけでは分析はできないので取得するために1年から3年は最低でもかかると言われています。
インターネット上や書籍など情報量が多くその度に様々な分析方法に惑わされてしまうと理解に時間がかかってしまうこともデメリットとなります。
ファンダメンタルズはファンダメンタルズで覚えなければならない知識も多いでしょうし一長一短ね
ファンダメンタルズ要因の動きに対応できない
チャートだけで分析する手法のため、大きな動向やニュースがあることを把握せずに取引をすると、回避できたであろう損失を被ってしまうことがあります。
極端に言えば戦争が始まったのを知らずにその国の通貨を何も知らずに取引をしているようなことにもなりかねません。
ただし後述するダウ理論に基づき全てのファンダメンタルズ要因はすでにチャートに織り込み済みであるという理論もあります。
ダウ理論とは
テクニカル分析を学ぶにあたって決して避けて通れないのがダウ理論です。
ダウ理論はチャールズダウによって提唱された市場値動きに対する理論です。
ダウ理論は6つの基本原則で成り立っています。
- 価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
- トレンドは3つに分類される
- 主要なトレンドは3つの段階から形成される
- 価格は相互に確認される必要がある
- トレンドは出来高でも確認される必要がある
- トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
テクニカル分析においてこのダウ理論の中に出てくるトレンドということに関して理解することが必須となります。
FX取引においてはこのトレンドがどちらに向いているかというのが重要であり、トレンドが方向性を持ったという定義をきちんと把握しておくことが必ず必要となってきます。
なんだかわかるようなわからないような、、、
以下で一つずつ詳しく解説していきましょう。
ダウ理論におけるトレンドとは
トレンドには2つあります。
1つは価格が上昇していっている状態である上昇トレンド、もう一つはが下降していっている状態である下降トレンドです。
上昇トレンド
高値が切り上がりかつ安値も切り上がっている状態
下降トレンド
高値が切り下がりかつ安値も切り下がっている状態
テクニカル分析ではまずはこのダウ理論における上昇トレンドと下降トレンドをベースに学んで行きましょう。
ただ単純に上に向かってれば上昇トレンド、下に向かってれば下降トレンドというわけではないのね
ダウ理論の6つの基本原則
それではダウ理論の6つの基本原則について一つずつ解説していきます。
- 価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
-
これはファンダメンタルズ的要素は全てチャートにすでに織り込まれていて反映されているということです。
極端に言えばファンダメンタルズ分析は必要がないということになります。
ファンダメンタルズ分析をしなくてもチャートパターンから価格を予想することは可能であるという原則です。
- トレンドは3つに分類される
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ダウ理論でのトレンドは1年から数年間の長期トレンド、3週間から3ヶ月ほどの中期トレンド、3週間未満の短期トレンドに分類されています。
例えば1時間足で下降トレンドを明らかに形成していたとしても、日足では上昇トレンドの真っ最中であるということは頻繁に起こります。
つまりテクニカル分析をする際には様々な目線で分析をする必要があります。
小さい目線でばかり分析をしていると大きな流れに飲まれ損失を被ることになります。
- 主要なトレンドは3つの段階から形成される
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ダウ理論では1つのトレンドが起こるのを3つの段階に分けています。
最初が先行期、上昇をし始める段階です。
先行型の投資家が買い始めチャートは緩やかな上昇を始めます。次が追随期、明らかな上昇を確認できます。
最初の上昇を確認した投資家たちが次々と参入してきている状況です。最後が利食い期、上昇が止まります。
買っていた投資家たちが利確をしチャートの勢いが止まり、出遅れた初心者などの損切りが売りを呼ぶことで下落に転じていきます。取引をする際にはできるだけ有利なタイミングでエントリーする必要があるわけです。
- 価格は相互に確認される必要がある
-
この原則はFXでの場合は例えばドル円が上昇している際はユーロドルは下落しているというように、相関する2つのシグナルが合致していることを確認すべきであるということです。
ドル円が上昇トレンド、ユーロドルも上昇トレンドである場合は買いエントリーはすべきではないなどの判断ができます。
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
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上昇トレンド中には出来高は上がります。
そしてトレンドが弱まり下落に転じるに合わせて出来高も減少します。つまり取引の際にはトレンドの把握は出来高でも確認すべきであるという原則です。
- トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
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これはトレンド転換を見極めるために非常に大事な原則です。
理論において明確な転換シグナルとは、上昇トレンドの場合は価格が押し安値を割った段階、下降トレンドの場合はが戻り高値終わった段階がトレンド転換となります。
以上のように、テクニカル分析においてダウ理論を頭に入れていくことは最重要です。
無意識レベルで理解ができるまで落とし込みましょう。
テクニカル分析の代表的な方法
テクニカル分析で使う代表的な物を紹介します。
これらはあくまで目安になるもので売買のサインを教えてくれるものではありません。
使う人や分析方法によって全く結果も見方も異なってきます。
自分の中でどう使えば便利なのかを分かった上で表示しましょう。
とりあえず全部表示しておこうなどというのは学習が遅れるだけでなく混乱を招きますのでやめましょう。
たくさんの分析サインがあった方がより一層精度が上がるのかと思っていたわ
ライントレード
価格の節目に引いた横線や斜め線を参考に分析をし取引をします。
それらの線で価格が抵抗され反発されるのを予測してトレードしたり、強く反発されていた線を超えた時に大きく伸びることを期待してトレードしたりします。
移動平均線
移動平均線はチャートに表示させる線の種類の一つです。
例えば15分足の20 MAは、現在から20本分前の15分足の平均値を描き続けます。
それらの移動平均線を参考にトレードを行います。
移動平均線を目安に反発を狙ったトレードなどがあります。
SMAやEMAなど移動平均線にも色々種類があります。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは移動平均線を中心としてその上下に標準偏差というものを表示します。
それらが拡大したり収縮したりする形からトレードの分析を行います。
例えばボリンジャーバンドが拡大収縮を繰り返すことを利用して、収縮した時に買いをしかけ、拡大しきったところで売りを仕掛けるなどの分析をします。
フィボナッチ
フィボナッチは黄金比率を使った分析方法です。
フィボナッチリトレースメントというものを使うと価格に対して黄金比率を参考にした数値が表示されます。
その数値の場所で価格が推移することが多いため、利確やエントリーの参考にします。
黄金比が相場のチャートにも反映されるなんてなんだか不思議ね
テクニカル分析学習の注意点
情報を集めすぎない
テクニカル分析はとにかく情報量が多いため初心者の方はまず情報を絞るのに苦労すると思います。
たくさんの情報を覚えればそれだけ早くトレードが上達して行くのではないかと思いがちです。
しかしながらテクニカル分析においてはいかにシンプルに行うかが重要となっていきます。
たくさんの情報を詰め込むよりも、一つの手法を分析し続ける方が早期上達に繋がると考えられています。
ではなぜたくさんの情報を覚えることがよくないのかと言うと、まず手法によって同じチャートでも分析の仕方が変わります。
つまりAという手法では買い、Bという手法では売りを示してしまうことがあります。
こうなってしまうと当然混乱してしまいまともにトレードすることはできません。
もう一つは一つの手法を極めるのには時間がかかります。
そのため多くの手法を同時に学ぼうとすれば何倍もの時間を必要としてしまいます。
ですからできる限り手法は絞り、1つのことを理解できるまで学び続けることが大事です。
そうすることで他の方法に目移りをしてしまい余計な遠回りをすることになります。
FX経験者が最初に負け続けるのはこういった背景があります。
心当たりがあるわね
プロでも手法は一つであることが多いです。
資金管理を徹底する
FXにおいて資金管理は最重要ポイントの一つです。
適切なロット管理はもちろん、損切り位置の設定、出金のルール、自己資産に対するFXで使う資金のパーセンテージ、など
きちんと管理することが勝つことへの近道となります。
FXは資金がなくなってしまったらそもそも取引することができません。
感情に任せて根拠のないトレードをしないこと、損切り位置をきちんと決めて変更しないこと、資金に対して何%のロスカットを入れるかを決定すること、このようなことをしっかりと自分で定義付けて守ることが大事です。
資金管理の徹底さえすればトレードで負けることはないという理論もあります。
最初から自己資金をトレードしない
FXを始めるとすぐに稼ぎたくなってしまいます。
ですが何の知識もない状態や初心者で勝つのは不可能です。
もちろん偶然勝つことは大いにありますがそれはギャンブルと同じになってしまいます。
そうなってしまうと正しい知識を身につけるのは一層困難になります。
そのトレードには根拠も技術もないため同じ勢いで破産します。
それを避けるために技術を身につけるまでは自己資金を投入せずデモトレードを行うことが肝心です。
デモトレードで勝てないのに自己資金で勝つのは不可能ですし、ギャンブルのようなトレードでいくら負けても損失はありません。
必ずデモトレードで安定して勝てるようになるまでは自己資金をトレードしてはいけません。
過去チャートの検証ソフトなどを購入して分析練習をするのもとても有効ね
過去チャートの検証ソフトはデモトレードのようにリアルタイムではなく時間の巻き戻しや早回しが可能です。
効率よく検証を行いたい方には必ず導入していただきたいツールです。
詐欺に気をつける
直接トレードとは関係ありませんが、FXないしテクニカル分析に関しての分かりづらさから初心者を狙った詐欺が多く存在しています。
逆に言うとf xの手法に完全な正解はないためうまく乗せられて信じ切ったまま高額な情報商材やスクールなどに支払いを続けているケースは多く見られます。
全く根拠のなくわけのわからない手法をレクチャーし、勝てないのは本人の技術がまだ未熟であるからだと思い込ませたりとやり口は非常に巧妙で被害にあってることすら気づかない場合もあります。
ある程度知識がついてくると欲しい情報が見極められるようになります。
初心者のうちは何もかもが素晴らしいことを言っているかのように錯覚してしまいそうになるわ
まとめ
FX取引におけるテクニカル分析というのものがどういったものなのか理解いただけたでしょうか。
テクニカル分析を学ぶにおいて最初に勘違いしてしまうのが完成したチャートを見て簡単だと思い込んでしまうことです。
確かに完成されたチャートを見てみると様々な手法やテクニカルにおけるサインが明確に効いているかのように思えます。
ですが実際に取引を行う際はチャートの右側には何も表示されておらず、おしめや戻り目がどこであるかというところはしっかりと検証を積んだ上の技術がないと見極められません。
毎日チャートに触れ、チャートの癖やローソク足の動き方などを感覚でも体に身に染み込ませるようにしましょう。
その際にただ眺めているだけでも行けませんし、ましてや無駄なエントリーなどはもっての他です。
自分なりの勝てるパターンを作るための練習をたくさんしましょう。
またテクニカル分析を学ぶ際には間違った情報に溺れすぎないようにしましょう。
FXのテクニカル分析は一つ一つのことが理解することが難しいため、極端に言えば理解できているのかを理解することが難しいのです。
例えば用語一つとっても果たしてこの捉え方は正しいのかどうか何度も反復して理解をするようにしましょう。
間違った情報のまま突き進んでしまうと壁に当たった時に何が間違っているのかわからず混乱をしてしまうことが避けられません。