FX取引でテクニカル分析を学ぶ際に最初に取り掛かるのはライン(水平線)を引いて分析することではないでしょうか。
あるいは水平線を意識される価格帯に引いていく作業をしていて一体どこが有効に効く部分なのか分からなくてチャートがラインだらけになってしまうといったようなことがあると思います。
そのような時に水平線の有効な部分をさらに分かりやすくするためにも移動平均線は役に立てることができます。
テクニカル分析を行っているFXトレーダーで移動平均線を使っていないトレーダーはかなり少ないのではないでしょうか
移動平均線自体を使っていなくても移動平均線ベースで作られたインジケーターを使っているトレーダーであったりする場合が多いこともあり、ほぼ全てのテクニカル分析を行っているFXトレーダーは移動平均線を活用して分析をしていると思って良いでしょう。
そういった意味でも移動平均線をマスターすることはこれからFX取引を覚えていく初心者トレーダーにとって絶対不可欠な項目となります。
早い段階で移動平均線の理解を深め、チャートをさらに読みやすく分析しやすくしていきましょう。
ここでは移動平均線についての詳しい説明を項目ごとに行っていきたいと思います。
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移動平均線とは
ではそもそもFX取引における移動平均線とは何を意味するのか、そのことから説明していきます。
移動平均線はMA(moving average)とも呼ばれ、FX取引のチャートの上での設定した期間のローソク足の平均値を次々と結んだ線のことです。
例えば20MA(20移動平均線)とは、その地点のローソク足から20本前のローソク足までの平均値が表示されていきます。
直近20本分のローソク足の終値の価格の合計を出して20で終わった値ということになります。
つまり、ローソク足が確定するたびにそのローソク足から20本前までの平均値が描画されていくため平均値が移動していきます。
それでそのまま移動平均線と呼ばれています。
移動平均線はローソク足の並びを見るよりも相場のトレンドを一目で把握することが分かりやすく可能なためFX取引の初心者の方にはチャートの見え方を理解するのを早めるためにも有効な手段です。
移動平均線の種類
移動平均線にはいくつか種類があります。
その種類によって反映のされ方に微妙な違いが生じます。
FX取引におけるテクニカル分析のトレーダーは各々の手法に合わせて扱いやすいものを選択し利用しています。
移動平均線の種類ごとの特徴をまずは学んでいきましょう。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(simple moving average)は、その名の通り単純にを出して終わり平均を出した移動平均線です。
単純に割っているだけなので直近の値動きなどへの反応が遅い傾向にあります。
指標平滑移動平均線(EMA)
指標平滑移動平均線(exponential moving average)は、直近の価格にかかる比重を多くして単純移動平均線よりも金の値動きに対して早く反応するようにアレンジされている移動平均線です。
単純移動平均線と比べ直近の価格のデータに反応しやすいため、描画される波も単純移動平均線と比べ大きくなります。
そのため単純移動平均線よりもざっくりとした波の動きが分かりづらくなる傾向があります。
計算方法としてはローソク足の合計にプラスして直近の価格をもう一度追加で足してその合計を設定した本数+1の数で割ります。
例えば20 EMAであれば直近20本分のローソク足に最新の1本のローソク足の価格を足し21で割ったものになります。
加重移動平均線(WMA)
単純移動平均線の平均値に対して新しい値に向かって大きな数字をかけていき新しいデータの方が比重が大きくなるようにアレンジされている移動平均線です。
指数平滑移動平均線よりもさらに早く相場に対して反応する移動平均線となっています。
20 WMAであれば最初のローソク足の価格に1をかけ、次のローソク足の価格に2、という風に増やしていき20本目のローソク足に20をかけます。
そしてその合計を割ったものがWMAです。
どの移動平均線を使うべきなのか
3つの移動平均線の種類を紹介しましたがではどの移動平均線を使うべきなのか迷うと思います。
移動平均線が何が適切かについては様々な意見がありますが、言ってしまえばどれでもいいというのが正解です。
チャートを見やすくするために表示させているのが移動平均線だということで言えばどれを表示しても問題ありません。
例えば相場の大まかな動きなどを把握したり高値安値を差しはかる目安として使ったりしたい場合には単純移動平均線。
より相場の動きに対して素早く反応しエントリーサインとして積極的に利用したい場合は指数平滑移動平均線や加重移動平均線が良いかと思います。
移動平均線への理解を深めることでそういったことに関しても納得がいくようになると思います。
この3種類の移動平均線の実際の見え方の違いを比べてみましょう。
上の画像をご覧ください。
赤い移動平均線が20単純移動平均線、オレンジ色の移動平均線が20地標平滑移動平均線、青い色の移動平均線が加重移動平均線です。
大きな値動きが起きた場合の反応の速さに違いがあるのがわかると思います。
ただしそれ以外の部分や全体として見た時の描画のされ方としては大差がないと言っても良いでしょう。
移動平均線の数値設定
さて、移動平均線には設定する数値があります。
どのような数値なのかというとロウソク足何本分の平均値を出すのかという数値設定です。
例えば1時間足で20本分、つまり20時間分の平均値を単純移動平均線で算出した場合は1時間足の20 SMAとなり設定値に20を入力します。
移動平均線における数値設定はそのトレーダーや手法によって様々です。
自身の手法や分析や環境認識の時のルールが定まってくると数値もおのずと決まってくると思います。
しかしFX取引の初心者の方にとってはどの数字をまず設定すればいいのか迷ってしまうと思います。
そこでおすすめしたいのが20移動平均線です。
この20という数字は初期設定で設定されていることも多く、多くのトレーダーが利用していると予想される数値です。
FX取引においてはそのチャート上の値動きに多くのトレーダーの大衆心理が影響されるとされています。
そのためインジケーターなどの数値設定などにおいてもできるだけ多くの人が使っている数値を選ぶのが理にかなっています。
まずは20移動平均線を設定してみましょう。
短期・中期・長期
移動平均線を設定する際に短期の移動平均線、中期の移動平均線、長期の移動平均線を設定することが多いです。
この3つを設定することによりマルチタイムフレーム分析としての効果も期待できます。
先ほどのおすすめ設定とした20移動平均線は、短期の移動平均線として使用されることが多いです。
もちろんトレードスタイルによってもっと短い5移動平均線などを短期とし、20移動平均線は中期とするどうもあります。
ではなぜ数値の違う移動平均線を設定することによりマルチタイムフレーム分析としての効果が期待できるのでしょうか。
この理由は移動平均線のなり方を考えてみるとすぐにわかります。
このように上位足のタイムフレームを意識した数値設定にすることによりマルチタイムフレーム分析として役立てることができるわけです。
では実際に3本の移動平均線を見てみましょう。
上の画像は5分足のチャートです。
赤い線が20移動平均線、緑色の線が60移動平均線、水色の線が240移動平均線です。
このように3本表示することにより上位足での動きも非常に分かりやすく把握することができます。
20移動平均線、5分足が上昇していても上位足の1時間足の20移動平均線ではなだらかな下降トレンドを刻み続けていることが分かります。
このように普通の移動平均線を表示させることはマルチタイムフレーム分析に有効であることが分かります。
時間足ごとに細かく上位足の移動平均線を表示してもいいですし、ざっくりと短期は20中期は80長期は200と言ったように全ての時間足に同じ数値を設定しても構いません。
時間足ごとにきちんと数値を変えないと正しい上位足の20移動平均線の数値と合致しないけど、、、
移動平均線は多少の誤差は気にする必要はありません。
下の画像を見てみましょう。
この画像は先ほどのチャートに200移動平均線を足したものです。
黒いラインが200移動平均線です。
水色ラインの240移動平均線との差はそこまで大きくありません。
先ほどのようにトレンド方向を図るという意味では全く差し支えがない誤差だと言えます。
また上の図に示した矢印を見てください。
240 移動平均線では緑色の漆の部分が意識されているのが分かります。
200移動平均線では赤い矢印の部分がよく意識されているのがわかります。
このように設定値によって意識される場所も変わってくるためあくまでざっくりとした平均値であるということを踏まえてどちらが自分のトレードスタイルに合っているかどうかを選択すれば良いのです。
この時に気をつけてほしいのはそれならどちらも表示すればいいのではないかという考え方です。
たくさん表示してしまうとどれを見ればいいのかわからなくなりエントリーポイントだらけになってしまっての連続になってしまいそうね
移動平均線の使い方
では早速移動平均線を表示させたらどのように活用していけばいいのかを学んでいきましょう。
移動平均線はただ平均を表示させてるだけではなくチャートの分析をしやすくなるための様々なな使い方をさせてくれます。
代表的な例を紹介していきたいと思います。
もちろんそれ以外にも自分なりの活用方法で応用することができます。
エントリーポイントや利確ポイントとしての活用
多くのトレーダーに意識されている移動平均線はエントリーポイントや利確ポイントとしてその目安になるように利用することができます。
多くのトレーダーがしているということはその移動平均線付近での価格は警戒され、バイバイが加熱しやすくなる場所であります。
下の画像を見てみましょう。
これは80移動平均線を表示したものです。
赤い矢印に注目してみてください。
価格が移動平均線付近で止められよく意識されていることが分かります。
では実際にどう活用すれば良いかと言うと、赤矢印付近での反発などを予想し価格が移動平均線に近づいてきたらエントリーの準備をしたり、あるいは平均線のあたりまで価格が落ちてきたら反発される可能性が高いので利益確定をする、といったような使い方ができます。
注意点としてはあくまで目安であることを忘れないでください。
移動平均線に触れた瞬間にエントリーや利確を毎回行うと結果的には損をしてしまう可能性が高くなります。
高値安値を決める目安として活用
まずは下の画像をご覧ください。
あなたはこの画像を見た時に高値安値のジグザグをがくとしたらどう描きますか?
高値安値の付け方に迷っている方は多いかと思います。
下の画像のように高値安値はその人のによってブレが生じてしまう可能性があります。
オレンジの線のように高値安値を設定する人もいれば青い色の線のように高値安値を設定する人もいます。
しかし高値安値の定義付けに一貫性がないとエントリーに再現性がなくなってしまいます。
そういった場合に高値安値をつける目安として活用できるのが移動平均線です。
下の画像をご覧ください。
先ほどのチャートに20移動平均線を表示したものです。
この高値安値は移動平均線を実体で超えたところの高値安値を結んで定義しています。
逆に言うと移動平均線を超えずに起きてるジグザグは高値安値として定義しない、ヒゲだけ抜けてる部分は高値安値として定義しない、と言ったように明確なルール付けをすることで高値安値の設定が常に同じ条件となるための制度や優位性再現性を上げることができます。
このように高値安値を決める時の注意点としては1本や2本や数本のローソク足がまたぐたびにジグザグをつけるような細かいところはある程度無視して考えましょう。
トレンドの強弱を見極めるのに活用
移動平均線は現在見ているチャートのトレンドの勢い、強弱を簡単に見極めるのにも活用できます。
まずは下の画像をご覧ください。
80単純移動平均線を表示したチャートです。
移動平均線に沿って矢印を描いてあります。
この矢印の角度のように相場の勢いや強弱によって移動平均線の角度も変わっていきます。
順を追って見てみましょう。
相場の行き過ぎを見つけるために活用
先ほどのように相場が勢いよく動いているとその後急激に逆方向に落ちる可能性があります。
そのような逆張りのような部分を狙うのにも移動平均線は役立ちます。
下の画像を見てみましょう。
こちらはチャートに80単純移動平均線を表示したものです。
ほぼ水平な移動平均線を描いた後に、ローソク足が移動平均線から大きく乖離し、相場はレンジ状態から急激な上昇トレンドに転じていることが分かります。
その後に移動平均線に足が触れた後移動平均線は緩やかになり、加熱した相場は落ち着きその後急下落しています。
このように移動平均線から大きく乖離している時はその後の急下落に転じることなどを予測することが可能です。
この移動平均線とローソク足の関係は以下のような大衆心理を表しているとも言えます。
このように移動平均線を使用して大衆心理なども考察することでより一層精度の高いエントリーを分析することが可能となります。
移動平均線はチャートの動きをわかりやすくしてくれる
FXのテクニカル分析における基本中の基本とも言える移動平均線について理解ができたでしょうか。
この移動平均線は単体で使用されるだけでなく、ボリンジャーバンドなどの移動平均線を元にした他のテクニカルインジケーターとしても活用されています。
どのインジケーターにも言えることですが、移動平均線を売買のサイン、エントリーの点を決定付けるサインにするのではなく相場分析をやりやすく、チャートを見やすくするものと捉えておくことがまずは重要です。
移動平均線は様々な使い方ができて便利ではありますが、それだけで勝ちトレーダーになれるわけではありません。
しっかりと移動平均線の意味、使い方、効き方などを理解して、なんとなく表示しているという状態から早い段階で抜け出すようにしましょう。
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